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桜の時’01
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なおくんに出会ってから初めての春のこと。
駅からなおくんの家までの道に小さな川が流れている。
いつの間にか駅まで車で迎えに来てもらえなくなった私は
なおくんの家に行く時 いつもその川に沿った道をひとり歩く。
駅のまでの間 河辺には桜の木が並んでいる。
咲き始めた時。
一人じゃなくて二人で見たいなぁ。そう思ってた。
ある日の夜。
夕飯も食べ終わってのんびりしてる時にお願いをしてみた。
「夜桜見ながらお酒が飲みたい〜。」
「なんか日本酒に夜桜ってよくない?」
「夜桜見に行こうよ〜。」
って。
はじめは嫌がってたけど、近くの川原に散歩がてらならと了解してもらう。
一緒にお酒屋さんに日本酒を買いに行ってそのまま川原へ直行。
『綺麗やねぇ』って言いながらゆっくり見られる場所を探す。
ちょうど川沿いにあった居酒屋さんの前の桜が一番綺麗でライトアップされてた。
さすがに居酒屋さんの入口の前で買ってきたお酒を飲む訳にはいかず・・・・。
対岸に渡って桜の木の下に座って見ることにした。
少し足場が悪いながらも二人で目的の場所に向かっていると、
『そんなとこで見んとこっちに来たらえやん』
と居酒屋さんの大将が声をかけてくれた。
大将のお言葉に甘えてお店の前のベンチで見させてもらった。
おつまみだけ注文して大将と奥さんと4人で話しながら満開の桜を眺めた。
花見からの帰りに
『たまにはこういうのもいいな』
って言ってくれたのがとても嬉しかった。
その日の桜は 今まで見た夜桜のなかで一番綺麗だと思った。
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