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2年3ヶ月(ウラ)
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2年3ヶ月ぶりに入った彼の部屋は ありえないくらい散らかっていて
2歳になったネコのルナによっていろんなところが破壊されていた。
私の知らない空白の2年。
そんなに散らかってるなら 女っ気なんか・・・・
なんて、思うかもしれないが そんなことはない。
彼の服に隠れて 女物らしきカーディガンがかかっている。
洗面所にはメイク落とし。
壁にはコテが吊ってある。カゴの中にはヘアスプレー。
すぐ目に入ってしまう。
あんなに散らかってるのに 見つけてしまう。
空白の2年3ヶ月。
私の望んだ場所にいた。そして今もいるであろう女性の存在。
寝る前にトイレの棚で見つけた 妊娠検査薬の箱。
全部目に入る。見つけてしまう。
でも、見ないフリ。気付かないフリ。
びっくりするくらい フツーに自然に振舞える。
なんでこんなに平然としていられるんだろう?
全部なかったことにして 彼とキスをする。
彼と身体を重ねる。
朝、何も知らされない辛さに耐えている 目の前に・・・・
ほぼ100%不幸な要素しか入っていない箱が無造作に置いてあった。
魔が差した。
不幸せになるとわかっていても 知りたかった。
ほんの少し覗いてしまった。
ほんの少しだから ほんの少ししかわからない。
彼女に『もう疲れた』とメールを送る彼。
彼に『全然向き合ってくれへんやん』と責める彼女。
でも、
明らかに彼女が彼の家に通っているのがわかる。
そんなやりとり。
それ以上見る勇気が私にはなかった。
私の知りたい欲求は更に強くなるばかり。
少ない情報で想像する。
こんなときに思い浮かべる状況は 自分にとって良くない事ばかり。
全てが片付いてから 話してくれるのかもしれない。
でも、本当に全てが片付くのかわからない。
全てが片付くまで、きっと私は待てない。
彼女のように
彼を責められればいいのに。
もう死にたいと脅せたらいいのに。
彼はどんな思いで 私をこの部屋に呼んだのだろう?
全てが知りたい。
今すぐ全てを問い詰めて 全てをおしまいにしてしまおうか?
ずっと頭の中で考えていた。
彼がシャワーを浴びている間。
仕事に行く支度をしながら コレでここに来るのを最後にしようか?
真剣に考えた。
やっぱりダメだった。
私の心の準備がまだ十分じゃない。
そして、今もまだ考えている。
私が彼と向き合えるのは 実家に帰るまでのあと1ヶ月なんじゃないかと。
次に彼の家に行くときは 覚悟を決めて向き合ってみるべきなんじゃないか?と。
何も教えてくれないのは 彼の優しさ?
それともズルさ?
わからない。
2年3ヶ月思い焦がれていた場所に 私じゃない存在を感じるのは
あまりにも残酷で 寂しいことだった。
といっても、2年3ヶ月前はすでにその兆しが顕著に現れていたこと。
わかりきっていたこと。
行かなければよかったとは思わないけど。
けど、けど、けど・・・・
私はまた、迷宮に迷い込んでしまったのかもしれない。
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